Sponsoerd Link

習得的行動

 

 

生体が環境に対する適応の幅を広げていくためには、環境とのやり取りから新しい行動様式を習得していく必要があります。これは、習慣的行動とよばれます。

 

習慣的行動の中で基本的なものは、条件づけによって習得されるものです。これは、行動習得の際の手続きの方法によって、大きく古典的条件づけ(レスポンデント条件づけ)オペラント条件づけに分類されます。

 

古典的条件づけでは、条件刺激のベルの音は、無条件刺激であるエサが与えられることをあらかじめ犬に知らせるといった機能を持っています。その結果、犬はベルの音を聞いた時にエサをもらえることを学習します。その意味で、条件刺激はその後に特定の事象(無条件刺激)が起こることを知らせる予報的信号であるといえます。生体は、この予報的信号によって次に起こるであろう事象への準備ができるのです。

(古典的条件づけについては古典的条件づけを参照してください)

 

オペラント条件づけについては、スキナーソーンダイクによって動物を対象にした研究が行われてきました。オペラント条件づけでは、光や音といった特定の刺激に対して、動物がレバーを押すといった特定の行動をすれば報酬(エサなど)が手に入るといった状況を作り出します。動物にとっては、光や音といった特定の刺激が望ましい事態を約束する約束的信号となります。したがって、約束的信号に応じてある特定の行動を自発的に行い、望ましい事態をもたらすことができるよう学習します。

(オペラント条件づけについてはオペラント条件づけを参照してください。)

 

このように、行動の際には予報的信号によって準備を行ったり、約束的信号によって自発的な行動をとれるようになります。これらの学習によって、感覚支配的行動では適応しきれなかった事態にも適応が可能となるのです。

 

しかし、ここでの例はどちらの信号のあとにもすぐに報酬ないしは望ましい事態が与えられています。すなわち、刺激信号とその結果が時間的にも空間的にも近いということです。

 

ところが一方で、日常生活においてはそれらの刺激信号とその結果が時間的にも空間的にも離れていることが少なくありません。たとえば、働いたことに対する報酬(お給料)は毎月決まった日にちに受け取ることになります。さらに、刺激信号を受け取り行動した場所から移動しなければその結果を受け取れない場合もあるでしょう。

 

このように、刺激信号とその結果を受け取ることが時間的ないしは空間的に離れている状況を、間接化した状況とよびます。間接化した状況で適切に行動できるようになることは、生体の適応範囲を飛躍的に拡大することにつながります。

 このエントリーをはてなブックマークに追加 
Sponsoerd Link

HOME プロフィール お問い合わせ