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性格のとらえ方

では、性格をどのように考えれば良いのでしょうか。心理学では、大きく『類型論』と『特性論』があります。

類型論

 類型論とは、性格をいくつかのカテゴリにわけ、ある人がそのカテゴリのどれに属するのかを考える枠組みです。

 たとえば、非科学的ではありますが、血液型による性格診断は類型論の考え方です。性格を『A型タイプ』や『O型タイプ』とするように、「このタイプの人はこんな傾向を持っている」をいう当てはめ方をするのが類型論の特徴です。

 

 心理学における性格の類型論として有名なのは、ユングによる『内向型』と『外向型』という分類や、クレッチマーによる体格による分類があります。前者は性格そのものを分類していますが、後者は体格という性格とは関連しないように見える特徴から類型論的な考え方を当てはめています。

 類型論のメリットとして、細部を省略した大きな傾向を示すことができることがあげられます。ユングの内向・外向型を借りて説明します。外向型の人を10人連れてきたら、大まかにみんな外向的ではありますが、細かい性格はそれぞれ異なるはずです。しかし、類型論ではその細かい性格を無視し、大枠としての『外向型』に当てはめて考えます。大カテゴリの下にある様々な小カテゴリは無視して、大カテゴリのみを使った分類方法といえるでしょう。その意味で、類型論はとても当てはめやすい考え方です。

 

 しかし、現在の心理学では類型論はあまり使われていません。その理由として、まず細部を無視してしまうデメリットがあげられます。ある状況や刺激に対する反応は、ちょっとした性格や考え方の違いで大きく異なりますが、類型論ではその違いを表現できません。もし類型論で細部まで表現しようとしたら、ものすごい数の性格カテゴリを考えなくてはいけないことになり、類型論のメリットが消えてしまします。

 次に、研究のしやすさの問題があります。類型論では、たとえば「外向型の人は友人が多い」といったような考え方になります。これは、外向型 vs 内向型の友人の数を比較するような方法です。対して、次の節で説明する特性論では、「外向性が高いほど友人が多くなる」といった考え方になります。ここでは、外向性を得点化することで、その得点が高いほど友人の数が多くなるといった考え方ができます。そもそも私たちはいくつかのカテゴリに分類できるほど簡単な性格はしていないですし、研究のしやすさを考えても特性論に軍配が上がることでしょう。

 

 

特性論

 特性論とは、性格をいくつかの要素に分け、その要素がどの程度備わっているかという側面から性格をとらえる考え方です。たとえば、「鈴木君は温厚でまじめだが、些細なことを気にしやすい」といった際、これは鈴木君の性格を『温厚』『まじめ』『些細なことを気にする』という要素で表現していることになります。この要素を『性格特性』と呼び、特性論では文字通りその特性によって性格を表現します。

 

 特性論の提唱者はオールポートと言われています。彼は、人の性格を個人特性と共通特性に分類し、表現しました。個人特性とは、ある人が持っているその人独自の特性であり、他の人にはない部分を指します。反対に、共通特性は誰もが持っている特性を指します。誰もが持っている共通特性には当然個人差があり、それによって比較が可能であるとしました。たとえば、「佐藤君は外向的だが、鈴木君は内向的だ」というとき、外向性(内向性)という共通特性の得点が高いか低いかによって比較が可能です。

 このように、特性論は性格を比較可能にしてくれました。類型論では、『イヌ型』の性格と『ネコ型』の性格を比較することはできません(それぞれ持っている性格が異なりますから、比較というよりも違いを探す形になります)。個人ごとの性格を比較可能なかたちで表現できることは、研究をする上でも、たとえば採用における性格診断など、たくさんの人の性格を統一規格で評価したい際には大変役立つ考え方となっています。

 

 現在の心理学で性格を評価する際には、ビッグファイブとよばれる特性論がよく使われます。この枠組みでは、人の性格を5つの次元で表現しようとし、それぞれの次元に得点を与えることで性格を表現します。

 

@精神症傾向 A外向性 B経験への開放性 C協調性(調和性) D誠実性

 

 これら5つの次元によって、性格をとらえることが一般的です。なお、各次元の名称やその内容は研究者ごとに少し異なったりしますので、注視してください。ただし、名称や内容が異なるからといって使えないわけではありません。むしろ、名称や内容が異なるのはこの枠組みを用いてそれぞれの研究目的に合わせたとらえ方を精力的に考えているからです。

 

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