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臨床心理学の概要

臨床心理学とは精神障害や心理的な問題、不適応行動などの援助や回復、予防またはその研究を目的とする心理学のひとつの分野です。単に上記のようなこころに問題を抱える人に働きかけるだけでなく、精神的健康を保持、増進、または教育するといった予防も目的のひとつとしています。

 

つまり傷ついたこころの回復だけを目的としているのではないということです。
何かしらの原因から特定の機能が失われても、失ったままで人生を生き抜ける方法を見つけたり、喪失を好機としてさらに意義のある人生を見出すことも目的としている、ということが臨床心理学の真の目的としているのです。

 

臨床心理学の分野では主に精神医学、精神病理を取り扱います。
また、臨床心理学を基礎とする資格に臨床心理士があり、一般的にカウンセラーとして知られている医療従事者の多くがこれにあたります。

人間理解の必要性

臨床心理学では精神障害や心理的問題、つまりこころの問題について取り扱います。
そのため、人間理解は欠かせない要素となります。

 

では、人間理解とはどのようなものなのでしょうか。
臨床心理学では、「全人格の理解」が必要不可欠だとしています。
「全人格の理解」とは、個人の人格だけでなく、その人の環境とそこにある様々な異文化を理解することとしています。これは個人だけでなく、その背景も含めた個人を形成する全ての要素を理解するという意味です。相手の全人格を理解して初めて、その人にとって意味のある人生とはどのようなものかを見つけ出し、そのための援助が行えると考えるのです。

 

特に相手に対する信頼と寛容は必要不可欠な要素です。
共感と寛容の欠如によるぶつかり合いは、人間理解とは対照的な位置にあります。相手に対して何の批判もせずに完全に共感を示し、相手を受容しているという印象を与えるだけの技術を備えなければいけません。
なぜなら心理的問題を抱えた人に対して上記の要素が欠如したまま接しても、相手の深層心理にある問題を引き出すことは困難だからです。例えばこころを開いていない人に悩みを打ち明けたりしませんよね?これと同じことです。

 

また、上記でも少し触れたように個人だけでなく、その背景を含めた個人を形成する全ての要素を理解することが大切なことです。
人間理解とは目の前にいて対話をしている人の理解に留まりません。あらゆる要素や環境を理解することで、目の前の個人が何故そのような問題行動、または症状を起こしているのかが見えてくるのです。

 

これらのことは臨床心理学において、個人のこころに焦点を当てる際に重要な要素となり、基礎ともなります。臨床心理学のあらゆる場面では人間理解を基盤として展開がされていくので、念頭に置いておくと良いでしょう。

面接場面における留意点

臨床心理学は面接場面が多くあります。
精神障害や心理的問題を解決する際、カウンセリングという形で個人と向き合うからです。

 

このとき、面接者には高い職業倫理が要求されます。
1.面接によって相手を精神的に傷つけない、傷つけそうなことをしない、他の人が傷つけることを見逃さない。
2.相手の秘密を守る。
3.相手を自分のために利用しない。

 

上記3条項は面接をする者の最低の倫理基準です。
これらが守れない場合、被面接者の問題を十分に引き出せない、誤った助言をしてしまう、被面接者が面接に応じなくなるなどの問題が発生してしまう可能性があります。面接者として被面接者と対峙する際は、上記3条項を必ず厳守しましょう。

 

一見簡単なように思えますが面接者として対峙すると、このような簡単なことを忘れてしまうことがあります。被面接者はその小さな変化を敏感に察します。忘れないよう、相手に寄り添うことを第一という心構えを忘れてはなりません。

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