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精神疾患の主な原因

精神疾患とは精神や行動に特定の症状が現れることによって、日常生活に支障をきたすもの、また、機能的な障害を伴っているものの総称です。統合失調症、気分障害、不安障害などその数はとても多く、症状も幅広く存在します。

 

精神疾患全体の罹患率は世界で4,500万人以上にのぼると推移されています。つまり生涯のうち、4人に1人はなんらかの精神疾患になるという計算になるのです。
近年、日本でも精神疾患の知名度は高くなってきています。多くの企業でもメンタルヘルスに関する動きがみられるようになり、また、周囲の理解も深まってきました。

 

そんな精神疾患は、どのような原因で発症するものなのでしょうか。
精神疾患によっても違いますが、共通していえることは、その病因は完全には明らかにされていないということです。現状、病因が明らかにされているものもありますが、それはほんの一部であり、その他は様々な仮説が考えられています。

 

仮説の中には、主に外因性、内因性、心因性の3つが存在します。
外因性とは身体の器質的変化や症状を原因とするものです。事故や身体疾患によるものがこれに分類され、認知症などが該当します。
対して心因性は固体の性格や認知に関わるものを原因とするものです。心理的なものが原因で起こる精神異常は心因性に含められ、ストレスや外的要因によって引き起こされる精神疾患が分類されます。
内因性は固体の内的因子によるものであり、主に遺伝的要因がこれに該当します。同時に原因不明性という意味合いも含まれており、外因性でも内因性でもないものとして扱われています。

 

具体的な要因としては、身体疾患に由来するもの、アルコールや薬物などが原因となるもの、ストレスやストレスによる脳の変調、遺伝的要因、生活環境など多くが挙げられます。そして、いずれにしても多くの要因が複雑に絡み合った上で発症するとされています。

精神現象の状態像

精神疾患は多くあり、その症状も多岐にわたります。同一の精神疾患の場合でも、共通した症状はみられるものの、個人によって程度の違いが生じたり、異なる経過を辿ることがほとんどです。
以下に示すものは、全体的な精神疾患においてみられる主な精神現象の状態像です。

 

■不安状態
対象のはっきりしない漠然とした恐れの感じを抱くものです。この不安は自律神経系の症状を伴います。
パニック障害、全般性不安障害、うつ病、統合失調症などでみられます。

 

■恐怖状態
対象のはっきりした恐れを抱きます。
不安状態と同様、自律神経系の症状を起こす恐怖症性不安障害、統合失調症などでみられます。

 

■強迫状態
強迫観念が中心となる状態で、強迫行為を伴うことがほとんどです。
強迫性障害を筆頭に、うつ病、統合失調症などでもみられる状態です。

 

■心気状態
実際には病気でないのに病気であると考えたり、あるいは病気ではないかと心配する状態をいいます。
身体表現性障害、うつ病、統合失調症などでみられます。

 

■神経衰弱状態
過労の結果起こる心身の疲労状態を指しています。疲労感が強く、注意集中困難、記銘力障害など精神機能が低下する一方で、焦燥感、落ち着きのなさなど、ときに興奮状態を示すことがあります。
神経衰弱型神経症性障害で顕著にみられる状態像です。

 

■解離転換状態(ヒステリー)
人の注意を引くような、大げさでわざとらしい表情・態度・振る舞いを行います。これには身体症状を著明に表す転換症状と、意識変容を示す解離症状の2つの種類があります。
神経症性障害、器質性精神症候群、演技性パーソナリティ障害などでみられます。

 

■離人状態
自己の精神活動、あるいは外界に対する実感が喪失する状態です。まるで遠くから自分を見ているような感覚に陥ることが特徴です。
神経症性障害、統合失調症、うつ病などでみられます。

 

■うつ状態
感情面では憂うつや悲哀、思考面では抑止と微小的内容、意欲・行動面では億劫、興味・感心の喪失、自殺念慮、身体的には倦怠感と不調感などが生じます。
多くの精神疾患で現れる状態像であり、気分障害、適応障害、統合失調症、器質性精神障害などでみられます。

 

■躁状態
感情面では爽快や高揚、思考面では観念奔走と誇大的内容、意欲・行動面では多弁多動、興味・感心の亢進、身体的には爽快、快調感などが生じます。
気分障害、器質的精神障害、統合失調症などでみられます。

 

以上が代表的な状態像です。この他にも幻覚妄想状態、錯乱状態、健忘状態、残意状態、昏迷状態、緊張状態などがあります。
精神疾患の全体像を把握するためには、精神現象の状態象を知ることが重要です。さらには患者個人の症状を見極めるためにも必要な知識となるでしょう。

治療法

精神疾患の治療法は大きく2つあります。心理療法と薬物療法です。
この2つのうちどちらを行うか、また、同時に行うかは病状によって異なります。また、精神疾患の種類によってはどちらかが行えないということもあり得ます。高い専門知識と熟練した技能が必要になることは共通しており、患者に合わせて適切に採択することが求められています。

 

■心理療法
物理的、化学的手段に頼らず、認知、行動などに変容をもたらすことで精神疾患や心身症、心理的不適応など種々の問題を解決しようとするものです。同時に、精神的健康の促進や保持、増進を図るものでもあります。

 

心理療法は主に対話を用いて行われる技法です。患者との対話を通じて誤った認知や行動を正しいものへと変容させることを目的としており、技法の種類は多岐に渡ります。中には対話を必要としない心理療法も存在し、幅広い技法と理論が確立されているのです。
ストレスなど心因性の精神疾患には非常に有効な技法だとされており、ストレスそのものの分析を行うこともあります。薬物療法は概ね表面上の症状を一時的に抑えるものであり、対症療法と考えられていますが、心理療法は問題の根本から解決に取り組みます。そのため、心因性の精神疾患に特に有効な手段とされているのです。

 

具体的に治療を進める際は患者の性格傾向や疾患の状態によって向き不向きがあることから、患者との共通理解の元に治療が進められていきます。技法によっては患者の症状を促進させてしまう恐れもあることから、適切な技法を採択することが重要です。

 

■薬物療法
薬物療法は薬を使用して行う医学的な治療法です。
精神疾患の治療においては第2選択肢として扱われることが多く、何らかの事情により心理療法を行えない場合などに採択されます。しかし有効性がみられないというわけではなく、最適な薬物を適切に使用すれば、様々な精神症状を消失あるいは軽減させることができます。

 

薬物療法の大きな役割は対症レベルでの改善です。必ずしも本質に作用する必要はなく、対症的に症状を軽減させることを目的としています。一時的に症状を軽減させることで、心理療法の促進、本質の改善に繋がるとしているのです。
また、薬物によっては病態をある程度まで改善することも見込めます。精神疾患によっては脳内伝達物質が影響しているとするものもありますが、そういった場合には非常に有効な手段となるためです。
そして、病状の再発防止としても有効な手段です。単なる対症療法としてではなく、安定維持と再発防止を目的として薬物療法を選択することもあります。

 

しかしながら、薬物療法を用いる場合には細心の注意が必要です。
精神疾患に用いる薬物は効果や作用機序がまるで異なります。また、副作用と薬物依存という問題が切っても切り離せない課題となるからです。その病状にとって最適な薬物を、最適な量で投薬しなければ2次的被害を呈する原因となってしまいます。患者によってもその薬物が合うか合わないかという問題があるので、話し合い元、慎重に採択することが不可欠となります。

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